一日
金曜日、友達のバンド「ザマーミローズ」のライブがあるというので、渋谷駅から徒歩15分くらいの青山バーという所に行ってきた。俺は親譲りの方向音痴で初めての所へはいっぺんで行けたことがないのだ。今回もちゃんと地図を持っていったにもかかわらず、駅のどの出口から出たのか分からず、かなり悩んでしまった。
着いてみるとそこは青山トンネルの入り口の壁をくりぬいて作られたかのようなとんでもない場所にある、それはそれは狭いライブハウスだった。名前からして、よっぽどおしゃれな店かと思ってたんだけど、真逆だった(笑) 中はほんとに狭く、お客さん10人も入ればもう満員。以前お世話になったドクロ楽団の矢野さん主催の「酒を飲むバカ、歌うバカ」がよく使ってた聖蹟桜ヶ丘の「Loose Vox」という店も狭かったけど、ここはさらに狭かった。あんた一番! おめでとー!!
でもその狭い感じがニューヨークやロンドンの場末のライブハウスを連想させて(実際に本物を見た訳じゃないけど)、ご機嫌な感じだった。そうした場所にザマーミローズの演奏がよく似合っていたのだ。今までで一番いいライブじゃなかったかな。多分、田舎に帰る前に見る最後のライブになると思うので、それがこんないかしたライブで良かった。
打ち上げで軽く飲み食いしてたらもう1時過ぎ。外にはまた雪が舞っている。電車はないので、中野に住むメンバー(以前俺ともバンドをやってたO君だ)の家に泊めてもらうことにした。また調子に乗ってビール飲みすぎてたのでフラフラしていたので、速攻寝かせていただいた。一緒に泊まったVoのK君は5時起きで仕事だそうだ。すげぇなあ…。
翌朝10時過ぎに二日酔いで痛い頭をかかえて起きた。雪はすでにやんでいて、積もってもいなかった。いつもクールな感じのO君なんだけど、実は殺害塩化ビニール(そういう名前の、バカな歌を歌うバンドのCDをいっぱい出してるインディレーベルがあるの)とかも好きなのだそうだ。友達が作ってくれたというテーマ別歌謡曲集CD(主に70年代の曲。もちろん変な歌も満載!)を聞かせてもらう。「いかりやReMix」(だっけ?)、つぼイノリオの「吉田松陰の歌」(松陰はシンドバットの本を見せた〜松陰シンドバット見せた〜小陰唇ドバっと見せた…ってやつ(笑))、ハトヤホテルのテーマ曲……。もちろんまともな歌謡曲も入ってて、それを聞きながらいろいろ当時の風俗や文化について語り合った。他にも彼の大好きなマイルス・デイヴィスのビデオなんかを見せてもらう。眼光鋭いその顔は、O君にどことなく似ている。
1時近くなり腹が減ったので、ショッピングモール「中野ブロードウェイ」に食べに行く。ここにはデパートみたいな建物の中にいろんな店が入っている。まんだらけ関係のおたくチックな店、エロ本、エロビデオ専門店、居酒屋、そば屋、弁護士事務所、占いの店、放送用器材の店、ゲームセンター、変な衣料品店…など、それは多岐にわたり、怪しさ爆発でさながら九龍城のような感じなのだ。
そこでそばを食い、いろんな店を見て回った。まんだらけでコロコロコミックの古本を手に取りながら、また当時のいろんなマンガの話に花が咲く。ドラえもん、オバQはもちろん、ゴリポン君、ロボッ太くん、金メダル暴走族、轟け!一番、おじゃまユーレイ君、釣り馬鹿大将、超人キンタマン……。いつもはクールなO君だけど、やっぱり子供の頃は俺と同じでそういうのを読んで育ってきてたんだね。なんか意外な素顔を見た感じで面白かった(笑)
変な衣料品店に行く。バカなデザインのTシャツがいっぱい売っている。ノッポさんが工作の材料をぶっ壊してる「できるかよ!」と書かれたもの、舞妓さんの絵の上に「ま○こ」と書かれたもの、ピーポ君がイっちゃった目で薬を打ってる「ダメ、ぜったい!」、タモリの顔をコラージュしたもの……あんまり覚えてこなかったけど、いっぱいあった。どれも爆笑。1枚千円ぐらいだったら買っても良かったんだけど、2,500円とかすんの。
大予言という、これまた怪しい古本屋に行く。ここは名前のとおり超常現象関係、精神世界関係の本が多い。あとなぜか武術、武道の本も。うちのお師匠様の太極拳ビデオが半値ぐらいで売ってた。形意拳のが欲しかったんだけど、なかった。残念。
テナントが入っていないのか、シャッターがしまっていて人通りが少ないフロアを歩いてたら、怪しげなオタク風の男たちが10人くらい列をなしていた。何事かと思って見ていたら、一カ所のシャッターが開き、中からメイドのコスプレをした女の子(まあまあかわいかった)が出てきて、「お待たせしました〜」と、中に招き入れていた。面白そうだったので前を通ってみたら、コスプレ喫茶らしく、今日は常連さんのための貸し切りティー・パーティーのようだ。安っぽい文化祭みたいな店内のイスに、オタク男達が座って、コスプレねーちゃん数人が相手(単なるお話し相手だろう)をしているみたいだ。怪しいのが、貸し切りだからって開けたシャッターをまたきちんと閉めたのだ。単なるお話し相手だけで終わるんだろうか? いや、彼らは肉体関係よりも自分たちのオタク話を理解してくれる方が重要なんだと思う…多分。俺もいっぺんそういう世界を見るだけは見てみたい気はする。オタクなむさい野郎どもには興味ないけど、かわいい娘がかわいいコスプレしてたら、そりゃ鼻の下ものびますがな。いや、とりあえず見るだけね。そんなディープな世界には浸かりたくはない。
地下一階のソフトクリーム屋さんで、名物?の8段重ねのソフトクリームを食べた。8種類のソフトが8段重ねになっている、20センチはあろうかというとんでもない代物。よく崩れないもんだ。それで値段は300円だからすごい。俺はそれにチャレンジするのは2回目。最後の頃は舌が冷たくて味なんかわかんなくなる。前に写真も撮ったんだけど、どっかいっちゃったんで見せられないのが残念。
また今度会おうねなんて話して、友達と別れ、家路に。東武池袋の駅を入ると、改札内のジューススタンドでなにやらもめている。酔っぱらったクソジジイがジュースのタンクを店員の女の子に向かって投げつけて暴れたんだそうだ。まったく迷惑なジジイだ。昼間っから酒なんて飲んでんじゃない!
すでに駅員が来ているので良かったが、もし暴れてる現場に出くわしたら、殴ってでも止めに入ったかも知れないな。
で、そのクソジジイは、暴れてたのを制止したのであろうサラリーマンの人にさんざん悪態をつきながら、警察に連行されていった。店の女の子達大丈夫だったのかな? トラウマにならないといいけど。
以前、実家の宇都宮の駅で、ホームレスをめちゃくちゃマジに蹴ってるヤクザだかチンピラだかがいたので、「やめろ!」っつって止めに入ったことがあった。「なんだてめぇ!」とか言って凄んできたんですぐに警察呼んでことなきを得たけど、人は無抵抗の人をあんなに躊躇なく蹴れるものなんだ…と思ってショックだった。そういう体験が俺を武術に向かわせているのだ。
今回、せっかく形だけでも武術習ってるんだから、ジジイが暴れだしたら太極拳で…と思ってしまった。そう思ってしまったのだ。太極拳という武術を習っているが、まだ套路だけ、ほんとに形だけである。付け焼き刃である。おまけに、相手が本気で殴り掛かってくる状況において、習っているもので勝とうなんて思うのは危険である。べつに太極拳を使うなと言ってるんじゃなく、太極拳にこだわって戦おうとしては、柔軟な戦い方ができないということなのだ。
有名な内家拳の蘇東成老師は、歌舞伎町でヤクザの集団とケンカになったとき、近くにあった自転車を振り回して投げつけたのだそうだ。生きるか死ぬかの時に拳法にこだわらないその姿勢が、誠に武術の発想ではないか。ブルース・リーは言った「月を指差しても、指先にこだわっていてはその先の大切なものが見えない」と。
太極拳も、長く習って体に動きを染み込ませれば、太極拳で戦うことにこだわらなくても、自然と太極拳になるはずだ。一見動きが套路どおりには見えなくても。蘇老師だって、自転車を振り回す際の動きに八卦掌の螺旋の歩法とか、太極拳の転身の動きとかが無意識に出てると思うぞ。武術を身につけるということは、きっとそういうことなのだろう。
と、また武術の話になってしまったが(苦笑)、そんなわけで家に約1日半ぶりに帰ってきて、そこから夜中まで寝ていたのでありました。東京での生活も後少しであります。引っ越しの準備進めなきゃ…。
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