謎の文字を追う 第1回
パソコンでは最近、UNICODEという文字コードが使われている。今までのShift JISなどの文字コードでは、せいぜい数万種類の文字しか扱えなかった。そのため、世界中のいろいろな文字を扱うためにかなりややこしい工夫をしたり、一部に扱えない文字があった。それがUNICODEでは、もっと何倍もの文字が扱えるようになったのだ。
ただ、新しい規格だけあって、不確定な部分や、アプリケーションが未対応の場合も多く、その場合には当然UNICODEの文字は表示されない。幸いこのココログはUNICODEに対応しているので表示することができる。
うちのMacOS XのUNICODE表を見ると、世界各国のさまざまな文字、記号が出てくる(もし出てこない場合は各国言語のパッケージがインストールされていない)。それを見ると、日本で馴染みのない国の文字も多いし、日本語の中にも初めて見るような文字があって驚かされる。記号にいたってはさらに「何に使うの?」というものが多い。
これらについて、少々調べてみようというのがこの企画だ。
第1回 日本語の謎のカナ
【か゚き゚く゚け゚こ゚ カ゚キ゚ク゚ケ゚コ゚】
か行に半濁点(゜)が付いたものである。
この発音は鼻濁音(びだくおん)といい、鼻から息を抜きながら「が行」を発音するのだ。通常意識することはないし、この文字を使うこともまずないが、単語の先頭以外の「が行」に鼻濁音を使うのが「美しい日本語」なのだそうだ。アナウンサーも最初のこの使い分けの練習をさせられるという。
鼻濁音にする例:鼻血か゚出る 木々(きき゚)の葉 輪をくく゚る 手を挙け゚る
鼻濁音にしない例:画びょう 疑問 軍隊 がんばる
【ヷヸヹヺ】
ワ行に濁点(゛)が付いたものである。
これはアルファベットのVで始まる外来語を表すために作られた文字で、それぞれ「ヴァ、ヴィ、ヴェ、ヴォ」と発音する。
今ではVの発音は「ヴ」で表すことが一般的なので、よほどのことがない限り、この文字を使う機会はないだろう。
外来語はカタカナで書くのが普通なので、ひらがなでこれに相当する文字(わ゛ゐ゛ゑ゛を゛)はない。同様にひらがなの「ゔ」もJISの規格では認めていなかったようだが、UNICODEには入っている。おそらくは「ヴ」に対するひらがながないのはおかしいという判断なのだろう。「ヷヸヹヺ」のひらがながないのは、きっと「ヷヸヹヺ」自体の使用頻度がほぼ皆無のせいだ。
ちなみに、外来語のVの発音に「ヴ」をあてたのは福沢諭吉という説がある。へぇ〜、へぇ〜、へぇ〜。じゃあ「ヷヸヹヺ」も彼なんだろうか?
【ぁぃぅぇぉゕゖっゃゅょゎㇰㇱㇲㇳㇴㇵㇶㇷㇷ゚ㇸㇹㇺㇻㇼㇽㇾㇿヮ…】
【セ゚ツ゚ト゚】
小文字のかなである「ゃゅょ」、「っ」などはよく使うし、「ぁぃぅぇぉ」も「ぎゃぁぁぁ」とかの表現で使ったり、「ヵヶ」も「一ヶ月」などで使われる。
それ以外の文字や「セ゚ツ゚ト゚」なんてまた妙な文字はいつ使うのか? 実はアイヌ語を表すのに使うのだそうだ。
「セ゚ツ゚ト゚」の発音は「せ、つ、つ」で、ツ゚とト゚は文字が違っても一緒の発音らしい。もっとも、ちゃんとした発音だと微妙に違うのかもしれない。英語のRとLの発音の違いのように。
MacOS X 10.3以降には、ことえりにアイヌ語入力モードが付いている。各国の言語を入力できるようにするのは結構なことだが、かなりの少数民族であるアイヌの専用入力モードが付くとは思わなかった。日本以外の国でも、少数民族の入力モードが提供されているのかどうかはさだかではない。
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