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2007/04/12

砂の器

松本清張の有名な推理小説、砂の器の原作を初めて読んでみた。
結論から先に言っちゃうと、「これ、ほんとに砂の器なの?」という感想だ。
映画やテレビドラマなどがかなり有名で、そちらの方は差別をテーマにした重い作品だ。こと、映画版は日本最高の映画という人もいるくらい、感動的な作品になっている。

東京蒲田で老人が殺され、直前にバーで一緒にいた三十前後の男が疑われた。男の発した「カメダ」という言葉を巡り、今西刑事は各地を飛び回る。
もうかなり昔の作品だから書いちゃうけど、ハンセン病の患者を父に持った新進気鋭の音楽家が、己の過去を公にされたくないために、かつて自分達親子の面倒みてくれた田舎の元巡査を殺めてしまったのだ。
映画などでは、差別という問題の中での親子の愛情と、現在の己の出世欲や社会的名声のためにそれを断ち切ろうとする非情さ、葛藤などが描かれ、涙なくしては見られないようにできている。
しかし原作はと言うと、基本的な設定は同じだが、実に淡々といくつかの関連した連続殺人が起こり、犯人の和賀英良(わがえいりょう)もただの冷酷な殺人者に描かれ、差別問題や心の葛藤といったことにはほとんど触れられていない。
和賀の音楽も、映画ではクラシックだったが、原作では前衛的な電子音楽で、殺人の方法も、元巡査以外の関連殺人においては、その電子音楽を利用した超音波殺人という、なんともSFチックな殺し方だ。
改めて言おう。「これ、ほんとに砂の器なの?」

他にも関川という和田の仲間の評論家が出てくるのだが、最後の最後の謎解きになるまで、まるでこちらが犯人かのように描かれている。
関川が恋人の部屋に来ていることを誰かに見られたからと言って、恋人にすぐ引っ越しをさせたり、引っ越し方法も移転先がわからないような小細工をしたり、なんでそこまで神経質にならなきゃいけないの? といった疑問を感じる。
だいたいその恋人の三浦恵美子(小学校の頃好きだった娘にそっくりの名前だよ、あーた! その娘の顔思い出しながら読んだよ、あーた!)が引っ越したアパートが、今西刑事の妹が経営してるアパートだっていうのもあまりに都合良すぎでしょ、あーた!

読み進めて残りのページがかなり薄くなってきたのにまだ目立った進展がないので心配してたら、最後の最後で刑事の推理が展開され、一気に事件は解決してしまった。先日「影の地帯」の時にも書いたと思ったけど、まるで江戸川乱歩の少年探偵団シリーズで、関係者を前にして明智小五郎が事件の順を追って推理を展開し、最後に「二十面相はこの中にいる…それはお前だー!」ってやったかのような締め方だった。当時はどうだか知らないけど(昭和36年に発表された作品のようだ)、今読むとすごい子供っぽい印象を受けてしまう。そもそもその推理もかなり強引な気がするし。

子供の頃他の作品を読んだときはとっても大人っぽい作品だと思ってたけど、こちらが大人になってある程度目が肥えた今、いくつかの作品を読むと、松本清張ってこんな強引な話を書く作家だったのかと思ってびっくりしてしまった。
ちなみに映画「砂の器」を見た清張の感想は、「原作を超えている」だそうだ。本人もわかってはいたんだね。


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コメント

原作マンセーを最近打ち破ったのはのだめでしたなあ(笑)。
そういえば映画で和賀役の加藤剛が弾く「宿命」って芥川也寸志らの作曲による曲があるんだけど、それがラフマニノフの影響が大きいらしい。なるほど、のだめで千秋がシュトレーゼマンの指揮の下に弾かされたあの曲調に似てる。

ところで、「カメダ」で思い出すものといえばやはり亀田。
「どんなもんじゃーい!」 「カッチカチやぞ、カッチカチ!」
そんなバカなことを考えながら読んでおりました。それじゃダメじゃん。

それにしても松本清張にはちょっとがっかりさせられたかな。もうちょっと、こう…なんかねぇ…。久しぶりに「点と線」でも読み直してみようかな。

普通原作を映画化した場合はほとんどが「原作マンセー」ってなるけどまったく逆バージョンみたいですね(;´∀`)
推理小説は読んだことがないんだけど
やっぱり日々進化しているのかもしれないですねw

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