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2009/05/25

カムイ伝

言わずと知れた、白土三平による江戸時代の階級闘争を描いた長編マンガだ。
今まで外伝のほうのアニメと、断片的にしか読んでこなかったので、この際最初からきちんと読むことにした。

江戸時代、非人(作品中の仕事内容からはエタが正しいらしい)として生を受けた少年カムイが、階級差別から逃れるために忍者となり、また忍びの世界での階級に疑問を感じて命をかけて抜け忍となる。
話はカムイ一人を主人公とするのでなく、並行して百姓の下人の正助らの抵抗運動などを通して、階級というものの矛盾や、支配者に反抗するも打ち砕かれる被支配者達の悲哀を描いている。いや、むしろカムイよりも正助らの闘争のほうがメインとして描かれている。

当初、カムイ少年が百姓を切った罪で捕まって首を刎ねられてしまうが、その双子の兄というのが突然出てきて遺志を継ぐことになる。作者が誤って殺してしまったため、しかたなく兄がいたことにしたのだという。作者の意志に関係なくキャラクターが動いてしまうとはこのことか。
また先にも述べたように、タイトルはカムイだが、正助のほうが主人公っぽかったりするのも、大河マンガゆえに生じた矛盾と言えよう。

武士や商人にひどいことばかりされる百姓や非人達。かわいそうでしょうがないのだが、どこまでマンガとして脚色されているのだろうか。
昨今の政治家の汚職や大企業による不当労働などのニュースを見るに、強調こそされていてもさほど間違ったことは書いていないんじゃないかと思われる。いつの世でも搾取する側とされる側はいると思うし。

今読んでいるのは三部構成の第一部で、1960年代にガロに連載されていた。今それの6巻まで読み終えたところだ。一部は15巻まであるので、まだ半分以下である。
第二部はここ10年ほどかかってようやく完結し、第三部はまだ連載も始まっていない状況だ。
最近全集としてまとめて出版されたものを読んでいるのだが、一冊1,200円もする。売っていればBOOKOFFで古本を買っているが、それでも全巻揃えるのは大変だ。しかし、一度は通読してみたい物語である。

マンガタッチだった絵柄が第二部から劇画調になるのだが、作画がそれまでの小島剛夕(子連れ狼でも有名)から白土三平の弟である岡本鉄二に変わったためである。と言うか、白土三平自身は作画にはあまりタッチしていなかったらしい。そのわりには小島の描くのはしっかり白土三平タッチの絵柄だったけどね。
白土のもう一つの代表作、サスケも全巻持っているけど、これはちゃんと本人が描いてるのかな?

ちなみに今度カムイ外伝のほうが映画化されるようだが、べつにそれに触発されて読み出したわけじゃないかんね。映画のほうは期待してないです。
役者のキャスティングが売れてる役者を使ったって感じでさ。特に不動が伊藤英明じゃ変だろう。色男過ぎる。不動って漁師の親玉で、実はカムイを追ってきた抜け忍狩りの忍者だぞ。もっと無骨な風体の役者を使わないとダメでしょ。最近黒澤映画を見てるもんで、特にそう思う。


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