手塚治虫「奇子」
Appleの電子書店iBooksで手塚治虫「奇子(あやこ)」読了。
タイトルからしてずっと、幽霊や妖怪が出てきたり、奇妙な超能力を持った少女の話かと思ってたんだけど全然違った。
戦後、GHQの占領政策や閉鎖的な田舎の一族の犠牲となって長い間蔵の地下に幽閉されていた娘と、それにまつわる一族達を描いた社会派劇画。
主人公はむろん奇子なんだろうが、騒動の中心にいる無垢の犠牲者という存在で、あまり主人公的なことはしない。
むしろ、奇子を幽閉するきっかけを作った兄の仁郎(じろう)が重要なポジションを占めており、実際に起こった国鉄総裁怪死事件「下山事件」を関連させている。
救いのない結末がやるせないが、その後の奇子はどうしたのかと言えば、医師の免許を取って高飛車の美人女医としてテレビに出るようになり、年収三千万以下の男とは結婚しないなどの発言で話題を呼び、数年前に「サンジャポのお陰ですぅ」としてAさんと結婚するも、昨年末離婚した。
「史子(あやこ)」
史子…もとい奇子は、猟奇的人間関係が横溝正史、社会派の感じが松本清張の感じだなあ。あと長いこと幽閉されていたために性知識が歪んだという点は江戸川乱歩の「孤島の鬼」を思い出した。
とにかく奇子が不憫だ。
あんまり主人公っぽくないっと思ってたら、どうやら手塚治虫はこれを物語のプロローグとして、続編を描く気があったようだ。
もうそれがかなわないのは非常に残念。
最近まで手塚治虫なんてまともに読んだことないんだよ。
三つ目がとおるを少しマガジンで読んで(子供の頃、団地の上の階のおじさんがくれた)、リボンの騎士をアニメで見た程度。
三つ目、火の鳥、ブラックジャックとかをちゃんと読んでみたい。
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